君 だ け に
3年連続
「やばーい緊張するー!!」
思わず声が出る。
中学校の石の校門には
「第34回入学式」
の文字が筆で書かれた看板が
雨も降っていないのに
ビニールに包まれて立てかけてある。
隣では同じ地区で幼馴染の
中矢明日夏[ナカヤアスカ]が歩いてる。
明日夏にとっても幼馴染で、
親友という存在の私は、
西河亜澄[カワニシアズミ]。
皆が登校してきて
先生が遅刻のチェックをしていて
少し朝は肌寒くて…
この日、いつもと違うのは今日は入学式
ということだけだった。
今日、私たちにとって重要なことは
クラス替えでしかないんだけど。
クラス表の紙に近づいていくにつれて
緊張がましてゆくのが分かった。
左肩にかけていた黒の合成皮の
スクールバッグを両手にもちかえ、
少し震えそうな手を紛らわしていた。