僕と彼女のウラ事情

『中村君って、穏やかで優しいよね!』


友達がそう言ってたから、私も思ってた。



    ‘優しい紳士”って・・・。










「手に入らないから、力ずくってか」


先輩の首筋に重ねたテレホンカードを
当てて、僕は冷たく言い放った。


座り込んでいる美吉さんは驚いて
僕を見ている。



・・それはそうだろう。

‘優しい紳士”の僕が、

こんな事をしているのだから。



「っなんだお前は・・、・・・っ!!」



叫んだ先輩の首に、テレカを食い込ませた。



「・・先輩、知ってますか。
 テレカで人を殺せるって」


「っ!!?」



先輩がギチッと固まる。



「知ってますか?
 実は僕、カッターも持ってるんですよ」


「・・・・・!!」



僕がにっこり笑うと、先輩は
冷や汗を流して逃げて行った。



「・・・カッターなんて常備してないよ」

先輩の姿が消えると、僕はしゃがんで
美吉さんを見た。

「・・中村くん・・・・」

「・・うん。もう平気だよ。大丈夫?」


涙目の彼女にタオルを差し出して、


僕は笑った。



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