僕と彼女のウラ事情


「・・・・ありがとう、ね・・?」




自転車をおす僕に、美吉さんが言った。



あの後、僕等は一緒に帰っていた。

彼女が心配だったし、美吉さんから
言ってきたので、断る訳にはいかなかった。





「・・別に、いいよ。
 通りかかっただけだから、ね。
 美吉さんが無事でなにより」


僕の言葉に、美吉さんは微笑んだ。



・・・・うん、その顔が好きだ。



思わず僕も微笑むと、
美吉さんはポツポツと言った。


「あの人、私に何度も告白するの・・」


「・・・・・・」


僕は黙って聞いていた。



「最初は普通だった・・・。
 でも2回、3回ってエスカレートして」



「‘しつこい男はキライ”??」



僕の冗談に、彼女は小さく笑った。




「中村君は、すごいよ・・」

「?何が??」


僕が聞くと、美吉さんはクスって笑う。


「普通は助けてくれないよ。
 勇気があるんだね・・。かっこいい」


「━・・!!!!!!」


僕はボッと顔が赤くなるのを感じて、
急いでそむけた。


・・・・・いきなりは、弱いんだって。

そんな顔で、そんな言葉を言わないでほしい

・・・・・・ものすごく、テレる。



幸せメーター上昇中の僕に、
美吉さんはしれっと言った。


「・・中村君、私の持ってたイメージと
 ほんとは全然違うんだね」




     「・・・・・え」




その瞬間、さっきの記憶が
フラッシュバックした。


━・・・・・・・・しまった。

何も考えていなかった。

    ・・・本性が、バレた。
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