僕と彼女のウラ事情
「・・・・・・・・」
「ちょっ、ややめて!!冗談だって!」
無言で浩太を押す僕に、今まで
楽しそうに傍観していた湊が呟いた。
「・・・あっ」
「「‘あ”??」」
僕が浩太を解放すると、
湊は鞄から茶色の封筒を出した。
「はい、大輝。
店長からお給料ですよ~」
「あっ!!
昨日もらったのに忘れてた」
湊にお礼を言って受け取る。
「バイトか~。
引退したらしよっかな」
部活組の浩太が呟いた。
僕と湊は同じ喫茶店のバイトをしている。
僕の親戚の叔父さんが経営している所だ。
さっそく封筒を開けて、中を確認。
「・・・・・あれ。
普通より735円少ない」
僕が湊を見ると、
「だってお前、昨日1時間遅刻したろ。
時給その分引いたんだって」
「・・・・・・えっ!!!!!」
僕は愕然とした。
確かに昨日は美吉との事があって、
1時間ちかく遅刻した。
あまり怒られなかったのは・・・
このためだったのか・・・・!!!!
ガクッとうなだれた僕に、
浩太は呑気に笑っていた。
・・貧乏高校生に、
735円引きの給料は。
・・・・キツイよぉ・・・・・。
美吉との夢のような時間から、
叔父さんによる給料引きで。
一気に現実に戻された気がした・・。