光の姫は何も知らない
ゆっくりと深呼吸をしながら集中する。
体全体に意識を集中した後に利き手である右手にそして流れている血液までも意識を集中させた。
イメージとしては血を能力に−
あたしの場合は光をイメージさせる。
何となくだけど手がじんわりと暖かくなるのだけどそれ以上は維持できなくてプツリと集中力が切れた。
「ふぅ〜。ダメだー。難しい」
「そうですか?」
あたしの呟きに碧山君はなんともない様子で指先に小さな風の渦を起こしていた。
「なんでそう簡単に出来るのよ!」
あたしなんてまだ全然出来てないのに…
今、あたしはミズノ君の教わりながらも能力を引き出す練習をしている。
あたしが転入するのは一週間後でその間に少しでも能力を使えてないとどうやらダメらしい。
で、今その練習をしているんだけど中々能力を使えないでいた。
これってあたしに能力がないって言ってるようなものなんじゃ…
一人悶々と考えてる隣でミズノ君が腕を組みながら『う〜ん』と唸り声を出しながら考え事をしていた。
「あっ! もしかして」
ミズノ君は何か思い付いたのかあたしに向き直り肩に手を置いた。