光の姫は何も知らない
黄村君とぼーっとそこに立っていると赤井君の怒声が飛ぶ。


「おら! メシ決まったならさっさと戻るぞ」


さっきの言葉撤回! やっぱりこいつは嫌なヤツだ!


「あっ!」


なにかを思い出したかのように赤井君が声を出してこちらを振り向く。


あたしはファイティングポーズで構えていると、


「俺のことはカイジでいいから」


ニッコリと笑いながら言うと再び前を向いて歩き出していた。



ちょっと! さっきの笑顔はなんなの〜!?


不覚にもドキッてしちゃったじゃないのよ!



「あれ? ヒカリも照れてない?」



も?


黄村君の言葉で赤井君の方をみると赤井君の顔がほんのり赤くなってるきがした。


赤くなるなら言わなきゃいいのに。



「ヒカリ。俺のこともライトでいいから」


「え?」


赤井君に集中してて黄村君の言葉が聞き取れなくてつい聞き返してしまう。



「ライト。俺の名前」


これって呼び捨てにしろってこと?


「でもあたし人を呼び捨てにするの苦手…ましてや男の子の名前を呼び捨てにするなんて…」


ちょっと抵抗が…



「ラ・イ・ト。言ってみて?」


うっ。これは呼ばないといけない状況ですか?


「ラ…ライト……君」


「『君』は余計だけどいいや。行こう?」


ライト君はそういうと先に歩いていってしまった。



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