奈落の王女に仕えしは執事
レインが作ったポトフは美味しかった。
私が食べたものよりも確実に美味しくて、心がぽかぽかする。
「…ねぇ、レイン。どうして貴方は私を介抱するのです?」
気付いたら、聞いていた。
「…絶対に言わなきゃ、駄目ですか?」
「…はい」
「…じゃあ、貴方の気持ちがこちらに向いたら教えましょう。それが条件ですよ?」
顔を私に寄せ、耳元でそう告げた。息が耳にかかって、少し恥ずかしい。
…私の気持ちが貴方に向いたら教える、か…
私は何を見ているのでしょうか、レインは何かを告げていた気がして、少し心配になった。