奈落の王女に仕えしは執事
…レインから物凄くいい香りがします…
まぁ、それは心地よいから良いのですけど‥
「レイン」
「はい?」
「ありがとうございます」
私は心から感謝の気持ちを込めて言った。
少し微笑みながら私を見る眼差しは、何だろうか…
とても儚かった。
馬車はがたがた音をたてながら城下町まで、進んでいく。
ちょっとした沈黙が恥ずかしかった。
呼吸の音まで聞こえてそうで…
その時から私はレインを気にするようになったのかもしれない。
だけど私は、
何かが不安だった。