奈落の王女に仕えしは執事
「家から離れて…」
「…もし場所がバレたらお終いです、…なるべく遠い場所から行きましょう」
パッと後ろを見る。
人の勢いは止まらないが、どんどん遠ざかっていた。
片手はレインと握り、
片手は材料を持っている。
次第に手が熱くなってきた。
それは何にたいしてなのか?だんだん鼓動も早くなる。
「…すいません、抱きますよ」
「へっ!?」
いきなり姫抱きして、レインは凄い早さで人をくぐり抜けた。
少ししたら曲がって森に入ると、もう兵士たちの声は聞こえない。
とりあえず降ろして、息を整える。まだ家まで距離はあるが、大丈夫だろう。
「…っ…はぁ…ごめんなさい…」
「いいえ…私が不甲斐ないばかりに、…大丈夫ですか?」
「…はい…あの、ありがとうございます…!」
とにかくレインに謝った。
いえいえ、と言うけど実際レインは本当に焦ったのじゃないかと思う。