奈落の王女に仕えしは執事

近くに私たちがいる家とは違う場所があった。
とりあえず馬車が置いてあったからバルツさんだと祈って、扉を開く。

「…!バルツさん!!」

「んぁ?嬢ちゃんじゃ、いっ!!?」

つい私はバルツさんの髪を引っ張っていた。
ヒリヒリ痛むのか、頭をなでている。

「大変なんです…とにかく来て!!」

「お、おうっ…」

バルツさんは馬車を持ってくるから、私は先にレインのところに行った。

早くしなければ…

いつも元気だったレインが、
風邪?…いや、分からない…

とにかく、全力で向かっていった。

 
< 32 / 92 >

この作品をシェア

pagetop