奈落の王女に仕えしは執事

それは深く、真っ暗な夜だった。やけに静かだった城で寝るのには丁度良かったけど、眠れない。
水を飲もうと立ち上がった
その時だった、

-ドガァアンッ!
爆発音が私の部屋から聞こえた。それもベッドからで、もし私が立ってなかったら死んでいただろう。

とりあえず危ない気がして、私は廊下に出た。

「王女様!お逃げくださ、ぐぁあっっ…」

「えっ…?」

たまたま来てくれた従者が、刺されてしまった。
それはどこか、夢とか本とかじゃなく、生々しい現実で。

「…クク、王女よ…」

金の甲冑を装備した、男が私の首筋に剣を当てた。

「どんなんだろうなぁ…憎き王女の悲鳴は…」

「…貴方はエンリの王…何故です、何が目的でっ…」

憎しみが湧いた。
初めてのドロドロとした感情が私を追い詰め、吐きそうだった。

怖い、でも国が…
…何故、貴方が……?

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