奈落の王女に仕えしは執事

途中、滝が見えてきた。
パチャパチャと水音が聞こえてくるから、足をゆっくり滝に近づける。

「…姫…!」

こちらに気づいたのか、
姫はびっくりしながらこちらを見ていた。

私も気付いたら、走っていた。

水が跳ねて、服が濡れるのに関わらずとにかく姫に走る。
そしてゆっくりと抱きしめた。

「…レイ、」

「姫…!良かった、こちらにいらしたんですね…!!」

ただ、安心感が溢れてく。
頭を抑えて、更に強く抱きしめた。

「…痛い、です…」

「ごめんなさい…でも今は、こうさせて」

頭を撫でる、
サラサラの髪が少し濡れていた。

ただ、こんな気持ちを抱いてしまった私は…
執事失格なのでしょうか?


 
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