奈落の王女に仕えしは執事
Ⅴ恋情
あれから私たちは、
自分たちの家に行った。
そして現在、気まずい状態でレインと向かい合わせに座っている。
「…あの…姫?」
「えっ…」
やっと口を開いたレインの顔は、私と同じように真っ赤だった。
「…何故、あのような場所に…?」
「…え、と…昔城にいたときにですが…滝の水を飲むと風邪が収まる…って聞いて…」
もう、良いですけど
そう言って、私はレインに微笑んだ。
「…ていうか寝ててくださいって言ったのに…」
「すいません…ですが心配だったもので…」
わざわざ私の為に走って…
まだ風邪も治っていないだろう、はぁはぁと息が。
近くにあったタオルで汗を拭き取った。
…胸がドキドキする。
やっぱり私は、
レインが好きなの…?
「…とりあえず寝てください、私がご飯作りますから」
「…はい…」
少し凹んでたけど、
手を引いて無理やり寝かせた。