奈落の王女に仕えしは執事

とりあえずどうしよう。
顔も洗って歯を磨いて、朝食も食べたし身だしなみも整えたし…

そう言えばレインが私を探しに来てくれたのも、今みたいに寂しかったから…?
…なんてね。

「…少し外に行こうかな」

「いけません、姫」

「…あ」

そこには、材料を持ってしかめっ面をしているレインだった。
荷物を置いて、顎を掴んでは私の耳元で囁く、

「…姫はお綺麗ですから、男性に見つかったらいけませぬ」

…と、
顔が一気に紅潮するから、悪戯でレインに、

「むっつりスケベ」

って言ってやった。
すると倍返しに、レインはそのまま私に唇を落とす。

「…悪戯はいけませんよ?」

なんて言うから、
何も反抗できなかった…

 
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