奈落の王女に仕えしは執事
「…私を…?」
「えぇ」
儚く、幸せそうな笑み。
また知らないレインを見つけた。
「…いろいろと聞いたんです、バルツはサラサの事に詳しいですから」
「バルツさんが…」
「…それでですね、サラサは慈悲に満ちて、愛に溢れていると。…それから私は、あなたに興味を持ちました」
黒い影が蠢いている。
…ずるずると動き出す世界の歯車。
「…でも今は、そのあなたの目の前に存在し、喋っている」
鬱蒼と茂る森が、
何かを告げた。
「それはどんなことよりも幸せなことです、姫…。いえ、アリア」
ギイィィイ…
扉は、音をたてる。
「…アリア姫、私はこれからもお仕えいたします。たとえこの命、果てましょうとも」
ぐるりぐるり、
歯車は廻り始めた…