奈落の王女に仕えしは執事
…熱い、とても熱い…
私はゆっくり目を覚ました。
目の前に広がるは、赤の惨劇で…
自分が確かバルツさんに…
それで、どうして…
「レイン……?」
愛しい彼の名を、呼んだ。
家が真っ赤に燃えている。
嫌な胸騒ぎが、とまらない。
ドクンドクンと胸が波打つと同時に、ただ嫌な気持ちしか溢れていく。
「…レイン…レイン!レイン!!…っ、レイン---!!!」
パチパチと私たちの思い出が消えていく気がした。
怖いよ、置いてかないで。
ジャラッと音を立てたネックレス。それをぎゅっと握りしめた。
その時、誰かが動く。
「…レイン……?」