奈落の王女に仕えしは執事
Ⅸ大切
「……め、…姫!…姫!!」
「えっ!?」
私は、体を起こして
周りを見回した。
ここは、バルツさんの家…
「っ、いたっ…」
「大丈夫ですか?姫」
「レイン…!よかった、レインなのですね!!」
あまりにも嬉しくて、
私はベッドからレインに飛びついた。
レインはわけが分からず、とりあえず優しく頭を撫でてくれる。
レインだ…
とても安心した。
ただ、いまいち事情がわからない。
私は確かにあの時、刺されたはず…ふと、ネグリジェから覗く包帯に気がついた。
レインのシャツの上から肩に巻かれている包帯にも、気づく。