奈落の王女に仕えしは執事
「…お願い、言って」
「…わかりました……
…奴は、サラサの時期国王に…」
出された言葉、
それはあの人が私の代わりに王になったという知らせ。
あまり悲しくはなかった。
「…姫、泣いて…」
「え…?」
だけど体は正直なものだから、
つい私は見られたくない思いで、顔を隠した。
「…隠さないで」
「やめっ…ちょ、レイン」
そんな自分を、レインは抱き締めてくれた。
頬を伝わる涙を優しく拭き取って、額にキスを落とす。
「…私はあなたの全てを受け入れます、たとえあなたが王じゃなくても、別にいい」
「…っ、なん、でっ…」
止まらない涙、
更に力をこめて私を抱く。
その度に、私はどんどんレインに頼ってしまった。
「私はあなた自身を愛してますから…」
そしてその笑顔に、
私は全てが大切に感じた。