奈落の王女に仕えしは執事

あの世界は、
私の心を変えてくれた。
本当は寂しくて、
悲しくて辛かったのに…

「…わた、し…国も、親も、何も…ない…」

「…だから何ですか、私はそんな事で心変わりなどしません」

心がぽかぽかして、
レインの言葉に胸が揺らいだ。

「…一緒にいても…あぶ、ないかもしれないよ…?」

「なら私は一生かけても護りますから」

頬を撫でて、
優しい笑みで私を見た。

「…もう、…置いてかないで……?」

「大丈夫、私にとってあなたが何よりも大切な存在。…もう離さない」

髪を、頬を…
全てを撫でてくれる。

ぎゅっと抱きしめた。
大好き、レイン。

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