セレブリティー・ラヴ
ドアの先にはフェンスの前で身動きの取れなくなっているあずきがいた。

あずきは目を瞑っている。


「あずき、目を開けて。」


俺は口を塞いでいる布を取りながら言った。


「徹…先輩。」


あずきの体を縛る縄をほどくと、あずきの前に膝をついて座った。


「あずき、最近、俺を避けていたよね?」

「……。」


あずきは下を向いてゆっくり、話はじめた。


「だって…、花草、先輩が……先輩は、私を、妹、みたい、に…思って、る、…って…。」

「そんな事…」

「徹先輩…花草先輩と、キス…して…」


今わかった。

あの時、沙羅が誰に向かって笑ったかを。


俺は泣いているあずきを抱き寄せた。
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