【短】Name
――――――――――…………
「ねぇ、惣介」
「………今度は何だ」
「私ね、惣介のこと……
大好きだよっ!」
真面目で、
部活馬鹿で、
ポーカーフェイスで、
凄く照れ屋な惣介が大好き。
「………俺も、
お前が好きだ」
―――――名前、
呼んでくれなくてもいいや。
手を繋ぐのもキスするのも、
焦る必要なんてない。
私一人で突っ走るんじゃなくて。
惣介とゆっくり歩いていくのが、
一番良いから。
自然に上がる口元を隠しながら、
わざわざ私に合わせてくれる
ペースでゆっくりゆっくり、
まだ赤い道路を歩いた。
END