へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「ちょ…っ…‥」
色をなくし慌てるあたしとは反対に、何のお構いも無しに肩先に顔を埋めてくるキルバッシュに驚愕した。
「やめ……、離…っ‥」
首筋にかかる生暖かい吐息に、うなじの毛がゾワリと総毛立つ
ツ…と、押しつけられたザラついた舌の感触に、体がビクンとはね上がった。
…そのまま、熱い舌を押し当てられて固まること数秒
そこから、もう何もして来ようとしないキルバッシュに途方に暮れる。
「オ、オイ‥キルバ…ッ…」
そして、そんな彼を引き離そうと声を出したのをキッカケに、何かのスイッチが入ったらしく、燃え盛るような熱い舌を、グリッと傷口を抉るように押し付けてきた。
「……っ」
感じた事のない感覚に、小さな吐息がこぼれる
そうして、次には何か鋭利なものが肌に突き刺さる感触を覚えて…あたしは、慌てて彼の名を叫んだ。
「…キルバッシュ!!」
───…すると、一瞬の沈黙の後
そっと体を離してきた彼が、まるで何事も無かったかのようにニコリと微笑む
「ごめん、ちょっと調子に乗りすぎた」
軽い感じにそう言う割りに、その瞳は笑っていなかった。