へたれンパイア~バイオレンスな生贄~


──その時、新たな日付を報せる鐘の音が響き渡り…あたしとキルバッシュの間の空間を切り開く


重たい余韻を残して最後まで耳の奥で鳴り響いていたそれは、もしかしたら神からのお告げかもしれなかった。




「…と、こんな時間まで女の人の部屋に邪魔するのは、失礼だね…。

フィア、私はこのまま本部に向かうけど…その間に、無茶な事して怪我なんかしたらイケないよ」


さっきまで、世間話をしていたかのような爽やかさで語りかけ、何のフォローも無しにパタンと扉の奥に姿を消すキルバッシュ


その姿を呆然と見送っても尚、あたしは未だ張り詰める緊張感から解き放れずに、その場に立ち尽くしていた。


感触を確かめるために、ゆっくりと肩の傷に手を這わせれば…先程の彼の感覚がまだ残っているようで、また一瞬だけゾクリと身震いする


そして

指の腹でプニプニとその感触を確かめてみれば、大きな穴が二つ、ポッカリと大口を開けて存在を主張していた。


< 101 / 225 >

この作品をシェア

pagetop