へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「…不毛だな」
そんな答えの出ない問いに自分でも嫌気がさし、自嘲めいた笑いにあたしはシャワーの蛇口を捻ってお湯を止めた。
そして
陰気な気分を振り払う為に、勢いをつけて顔を上げると…水分を含んだ髪の滴が、ポタポタッと辺りに弾け飛ぶ
それを両手で絞って、ジャブジャブと水気を落とすと、さっきよりも軽くなった体でシャワールームを出た。
ロクに拭かなかった体からは、とめどなく透明な滴がこぼれ、あたしが歩いた後の床を濡らしていく
けれど、元来大雑把な性格のあたしは、それに気にすることもなく…備えつけの棺形のロッカーを開け、常備されていた新しい団服に袖を通した。
まだシャワーを浴びたばかりとは言え、肌寒い朝の外気に晒された体は、新品の皮の素材の硬さを少しだけ嫌う
最後に、ジ…とスカートのファスナーを閉めあげれば、悪夢の余韻からまだ抜けきらないあたしの身が、少しだけ引き締まる思いがした。
そうして、髪の毛が濡れたままなのも構わずバスルームを後にする。