へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
…何かの符号が、一致しそうだった。
だがそれは、この場に"死体"の山がないと言う条件で、脆くも崩れ去る。
──…その時、背後でカチリと鳴った金属音に、あたしは身を強張らせた。
「姉さ──んッッ!!」
「……!!」
けれど、ホルダから二丁の銃を取り出して振り向いた頃には…もう時すでに遅し。
あたしの体はしたたかに床に打ち付けられ、衝撃で一丁の銃がカラカラと遠くに転がった。
「姉さああぁぁん!!」
「……」
なのに、ソイツは全く悪びれる様子も無く、あたしの腹部にしがみついたまま泣きじゃくるものだから…‥条件反射のようなもので、まだ手にしていた方の銃の柄で、ゴツリと頭頂部を殴りつけた。
「痛ッッッたァ……いィィッ!!」
予想以上に鈍い振動と衝撃に、男は猛烈な痛みを堪えて頭を抱えうずくまる。
でも、何故かあたしの体の上からは、馬乗りになったまま退こうとしなかった。
「メフィスト…ッ!どうして、お前はいつもいつも、そう忽然と姿を現すんだ!!」
あまつさえ、毎回人にタックルしやがって……!
そんな苛立ちに怒鳴りつけながら、上半身を起こす。