へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「うぅ…っ、ごめんなさい…」
「さっさと退け」
何だかんだと、図体のデカイそいつに乗られていては敵わないので、髪の毛を掴んで無理矢理押し退けようとするが…ビクともしなかった。
「……オイ」
声を低く押し殺して言ってみたが、何でかメフィストは動かない。
それどころか、ハァハァと鼻息を荒くしてあたしの体にしがみついてくるのに、多大な違和感を感じた。
「おま…」
「いい匂いがする……姉さん、シャワー浴びたの?」
「……」
曖昧な瞳を覗かせ、無邪気な顔で問いかけてくるその股間に、全力で蹴りを入れる。
"ぐえっ"とカエルが潰れたような声を出して横に転がったメフィストは、うずくまって体をピクピクと痙攣させた。
「悪いが、その通りだから…今、お前に"汚され"たくはない」
普段は全く気にしないが、流石に今は風呂上がりと言う事もあり…見えない汚れを手で振り払いながら、ゆっくりと立ち上がる。
小さく"え?"と、呟くメフィストを横目に、遠くに転がった銃を取りに行った。