へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「…お……さ、ま…」
ボソボソと何事かを呟き、唇を空回らせる少女に、ひしひしと嫌な予感が募る。
往々にして、この展開は……
「あっ、姉さん!危ない、逃げて!!」
その異変に気付いたメフィストが、遅ればせながら、目の前に迫っていた少女とあたしの間に手を差し伸ばしたのも、本当に遅く……
「お姉様!!」
「はぁ!?」
体当たりする勢いで、腰に抱きついて来た少女の重みに堪えきれず、背後にいたメフィストを押し潰して、仰け反り倒れてしまった。
元々、古めかしい造りをした家が壊れてしまうのではないかと言う程の激しい音が響き渡り、あたしと少女に押し潰されたメフィストの頭が、運悪くベッドの端にぶつかる。
ゴスン、と言う嫌な音がして、流石のあたしも慌てて振り向いた。
「だ、大丈夫か…?」
だが、明らかに大丈夫ではない感じで、声も出せず床をのたうちまわる姿に、顔がひきつる。
ほとんど白目に近い状態で頭を抱え、くねくねと妙な動きをしている所を見ると…どうやら、かなり痛いらしかった。