へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「…姉さん、寒くないの?」
「はぁ!?」
しかし、ここに来ても尚そんな突飛な事ばかりを言う奴に、あたしは苛立ちを隠せず声を荒げる。
でも、ヤケに神妙な面持ちでジロジロと見つめてくるメフィストと少女の視線に、何となく嫌な感じがして急いで自分の体を見下ろした。
…と、着ていたハズのクイールの団服はなく、ただ上下一枚の下着と薄いキャミソール姿だった自分に驚愕し、唖然とする。
「な、っ…」
道理で寒いと思っていたハズだ。
「あのままじゃ寝ずらいと思って、脱がせたんだ。ゴメンね」
ははは、と軽く笑い声を立てながら、頬を赤に染め頭をかくメフィストに、若干の殺意が芽生える。
あの服には、まだ対ヴァンパイア用の道具が幾つか残っていた…。
コイツは、一体どこまでが"天然"なのだろうと、本気で疑う。
「返せ!今すぐ!!」
「え…だって、もうさっき洗ったばっかり…」
「それでもいいから、早く返せ!!」
流石に、こんな格好のままでは、支部に帰れなかった。