へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「じゃあ、姉さんはヴァンパイアを殺す時に、何か罪悪感を感じたりする事があるの?」
こじんまりとした畑の中にある 切り株の上に座るあたしに、メフィストもしゃがみ込んで、そう問いかけてきた。
落ちたトマトを拾い上げ、口端から赤い液体を垂れ流しながらそれにしゃぶりつく様子に、ひどく陰惨な感じを受ける。
ボタボタと口汚く粗末に食事する様は、まるでまだ年端もいかぬ子供のようだった。
「もっと、キレイに食え」
せっかく、農作業用にと着替えたチェックのシャツに、どんどんと染みを作っていくのを見て、流石のあたしも溜め息を吐く。
ヴァンパイアが農作業など…呆れ過ぎて、物が言えなかった。
「俺は感じないよ、罪悪感。だって、ヴァンパイアは生きるために血を吸ってるのだし……姉さん達だって、自分を守る為にヴァンパイアを殺すわけでしょ?」
パンパン、と汚れた手をオーバーオールの横で拭いて、クワを持って立ち上がるメフィスト
最後に音を立てて唇を舐め上げたのが、あたしの聴覚神経を刺激し、多大な不快感をもたらした。
あの感覚を…思い出す。