へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「何故、そんなに答えが曖昧なんだ。お前程の力を持っているなら、何匹だろうが他のヴァンパイアの気配を感じ取れるハズだろう」
意識を失う寸前まで、あんなに隙を感じさせずにあたしを打ちのめした奴の実力を、認めないわけにはいかなかった。
…であるならばこそ、今こんなにノホホンと構えている奴の態度が尚更気に食わない。
本性を出すなら、ネコを被っておらず早く出せばいいものを…ッ!
「……分かんない」
「はぁ!?」
ところが、ここに来てまでもシラを切るつもるらしいのに、自然と睨み据える視線もキツくなる。
どこまで、あたしの事を見くびれば…
「…だって…っ…」
途端、無の境地にグーッと盛大に鳴り響いた腹の音に、驚愕した。
「…お腹…すいたんだもん……」
さも申し訳なさそうに俯き、唇を尖らせるメフィストに、ピクピクとひきつる頬の筋肉が止められない。
「腹が…空いた、って……おま…っ…」
「分かってる!確かに、あんなにいっぱい血は飲んじゃったんだけど、あれじゃ本当はまだまだ足りなかったんだ!!」
ジタバタと、せっかく自分が耕した土の上で暴れ回り駄々をこねる様子に、かける言葉が見つからなかった。