へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「んー…時々ね…でも最近は、みんなマティーを怖がって来ないよ」
「マティリアを?」
あんなに一人で張り切って元気そうだったのに、いつの間にか力無くダランと気抜けた状態になっている奴に驚いた。
この短時間に、何があったんだ?
「そう…マティーは、燃費がいいからたった一滴の血でも、数日間はずっとフルで動いていられるんだ」
そう言いつつも、ふぁ…と口が裂けてしまうのではないかと言うくらいの大欠伸をかましたメフィストに、嫌な予感が募る。
ショボショボと何だか眩しそうに目を擦り、気怠い感じでフラフラと体を左右に揺らしながら戻ってくるのにも、妙な猜疑心を覚えた。
だから、疑惑の目つきでその姿をジッと凝視してやれば、目の下にはさっきまで無かったハズの濃いクマが現れているのが、ハッキリと見てとれる。
「…オイ」
「ふぁぁい」
少し緊張した声でそう呼び掛けてやれば、返事とも呼べないような気抜けた声も返って来て…
その相変わらず、素面なのかわざとなのか分からない奴の言動にも、あたしは激しく苛立った。