へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「"ふぁぁい"じゃない。ちゃんと、あたしの目を見ろ」
その為、強行手段とばかりに、メフィストの顔を片手で掴み、指で頬がヘコムくらいに押さえつけてやる。
「……いひゃー…い…」
「だったら、早くコッチを見ろ。バカ者」
しかし、それでも体を振り子のように左右に揺らし続け、しまいには白目まで剥き出した奴に驚愕し、思わず手を離してしまった。
そのまま支えをなくした体が、フラリと倒れ込んで来て…あたしは、咄嗟に後頭部に肘鉄を食らわしながら、身を捩ってそれを避ける。
ゴスン、と生理的に嫌な音がして、皮肉な事にも自らが耕した土の上に顔面から突っ伏すハメになったメフィストを見て、戸惑った。
コイツ…今、牙が…?
そして、その事実にハッとして空を見上げれば、歴然とした太陽の姿が見当たらない事に、今がどの時間帯に当たるか分からなくて困る。
「どう言う事だ…」
もう一度だけ奴を見下ろし、小さくごちた。