へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
そして、"あたしは、メフィストに騙された"のだと、そんな屈辱的な思いに囚われ、強く握り拳を作った時
突如として、響き渡った衝撃音と、モクモクと立ち込める白煙の中に現れた奴等の姿に、あたしは小さく舌打ちをした。
「UHYAHYAHYA!!遊びに来てやったゼェ、メフィちゃぁ~ん」
崩れた塀の瓦礫の上に片足を乗せ、ぺロリと何とも嫌らしい様で上唇を舐め上げるソイツの様子に、おのずと問いかける声は低くなる。
「何者だ」
「兄の命を狙うヴァンパイア達ですわ」
口早に問うたあたしに、マティリアも同じく早口で答えた。
「そうか…」
明らかに、体のイイとは言えない相手に、険しく眉を寄せる。
見た感じは、一見雑魚"サッカー"とも思える程の劣悪な容姿。
だが、マティリアに話しかけるその口ぶりの言動からすると、どうも普通の下級ヴァンパイアだとは思えなかった。
「マティーちゃぁ~ん…ソイツ、誰?」
ヒョイヒョイと、赤黒く伸びた爪がある指を上下させ、ソイツは嘲るように笑う。
その様子に、何て浅はかなのだろうと思った。
戦う前から相手の力量を見くびる事は、そのまま死に繋がる事だと言うのに。