へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「へぇ~…じゃあ、ソイツもオマエらと同じ、純血の持ち主なんだな?」
ところが、それに半信半疑な感じで問い返して来た奴の言葉に、あたしはピクリと反応した。
「純血…?」
サラリと言われたその単語が、ヤケに耳に残る。
「お姉様は、とあるヴァンパイアブラッドを探しているのですのよね?」
何かが導き出せそうだった思考を遮られ、常の時よりも数倍に真剣な面差しで問いかけてくるマティリアの横顔に警戒しながら、あたしは慎重に答えた。
「ああ」
まだ、コイツらに手の内を明かすのは得策じゃない。
あんな奴でも、平気な顔して"嘘"を吐く以上…まだ、ヴァンパイアと言う奴等を信じるわけにはいかなかった。
そして、静かに視線を戻した先には、一見にして視界を埋め尽くす程のヴァンパイア達の姿がある事に、自然と緊迫感が高まる。
「すごい数だな」
「いつもの事ですわ」
嘲けるように言ったあたしに、マティリアも淡々と答えてきた。