へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「何から、何まで違いますわ。コイツらは偽物、わたくし達は本物ですもの」
次々と懐に飛び込んでくる敵を薙ぎ払い、マティリアはどんどんとその数を減らしていく。
元より備わった人の身長ほどもある長い爪を生かし、一振りであたしの倍以上の敵を倒していくのを悔しく感じながらも、密かに考えた。
そう言えば、ココ最近のヴァンパイア達の様子に不審な点があったな、と。
まず一つは、先日クイールの支部に、数匹のヴァンパイアが侵入して来た時
奴等は言葉もロクに話せない下等ヴァンパイアだったのにも関わらず、持ち合わせていた爪を自由自在に伸縮させる能力を持っていた。
「"偽物"の意味を教えろ。奴等は、本当のヴァンパイアブラッドではないのか」
マティリアには遠く及ばないものの、あたしも迫り来る敵を順序良く押し退けて、灰にしていく。
「仮に言えば、今はそうかもしれないですけど…昔は違いましたわ」
「何…?」
遠回しに何かを含んだ言い方をしてくるのに、思わず動きが止まった。