へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「離ッ…」
すぐさま抵抗を試みようとしてみたところ、あたしの左腕に乗っかっていた一匹のヴァンパイアに頭を押さえ付けられ、地面に顔を叩きつけられる。
激しい衝撃が顔面を襲い、口内に広がった鉄の味に眉をひそめた。
「ダメだ、バカ。まだ、イイってイわれてナイ」
「デモ、ドウセ、くれナイよ」
あたしの体を足蹴にしている挙句に、その上でのうのうと会話を繰り広げたりなんかしてる奴等に、屈辱的な思いが増し、唯一自由な両手のひらを握り締める。
…いくらあたしでも、この数相手の敵に丸腰で立ち向かっていって、敵うハズがなかった。
「ふざける…ッ…」
でも、それでもあたしは怯むことなく、戦闘意欲を失わずに顔をあげる。
目蓋が切れ、目尻から血が伝おうとも、決してその"負"を認めるわけにはいかなかった。
ところが、我が物顔で体の上に乗っかっている奴等を払いのけようと、体に力を込めた時、右足首に感じた痛烈な痛みに叫び声をあげる。
それはまさに肉を抉るような痛みで、皮膚に深く刺さる牙の感触と、脳天を貫くような痺れに、地面に額を擦り付け、それ以上の悲鳴が漏れ出すのを必死に堪えた。