へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「メフィだ…」
「…メフィスト…」
「…メフィちゃんだ」
また口々に連鎖していくその言葉は、果たしてメフィスト自身に当てられたものなのか
…はたまた、"ジャガイモを投げつけた犯人"に対するものなのか
それが、どちらかは定かでは無かったが…少なくとも、また新たな余波がヴァンパイア達の間に広がっていったのだけは分かった。
「メフィスト、お前…」
「メッフィちゃぁ~ん!!ついにおでましかァッ!?あ゛ァッ!?」
驚きに口を開こうとしたあたしを遮り、背後にいたリーダー格らしき"アイツ"がそう口を開いたのに、眉根を寄せる。
姿を見なくとも分かる下卑(げひ)た笑いと、醜悪な嗄れ声に、寒気がした。
「つ、い、に!!オレたちに、その心臓ヲくれてヤる気になったのかあぁッ!?」
興奮した面持ちで叫び声をあげ、まさに獣のごとき所行で地面に這いつくばる様子に、忘れかけていた"もう一つの疑問"が思い浮かぶ。
「タベてイイのカ?」
「マだ、ダメだッテ」
相変わらず、あたしの四肢を押さえ付けたままで会話を繰り広げる下等ヴァンパイア達の声を耳にしながら、それを考えた。