へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「……ね…む…」
「…オイ」
─────…くなったのか、突然コテンとあたしの肩にもたれ掛かり、安らかな寝息を立て始めた男
その無神経なくらいの図太さに、最早呆れを通り越して笑いまで込み上げてきた。
「変な奴」
素直にそんな言葉が口からこぼれ出し、その男を少し憎めないとさえ感じている自分を不思議に思った。
…イカン、すっかり毒されかけているな……
そして、その思考の行き着く先を想像し、空恐ろしくなって慌ててブンブンと首を横に振る。
自分の肩にもたれ掛かっている男の横顔を見ると、何か楽しい夢でも見ているのか…その頬をニヤニヤと緩ませて、心地いい寝息を立てていた。
「まさか、あたしの夢じゃないだろうな…」
そんな想像に軽く身震いしつつ、あたしは男の腕に自分の首を通しその体を抱えあげる。
こうなってしまった手前…このまま、コイツをここに置いて行くわけにはいかない
「やれやれ…とんだ拾い物をしたもんだ」
そう投げやり気味にボヤキつつ、あたしは男の体をズルズルと引きずった。
しかし
その後、あたしの身に降りかかる総ての出来事の元凶が…この男にあるだなんて
あたしはまだ、この時夢にも思っていなかったのである───…
*To be continued...?