へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
準備は万端、あとは出撃あるのみ
その気合いれに、あたしは一度パンッと自分の手のひらに拳を叩きつけた。
そして、固いブーツの底を踏み鳴らし、マントを翻して扉に向かう
その間、怯えた表情で見つめる外野の視線なんか気にせず、堂々と部屋の真ん中を突っ切って行く。
女子の控えの間として用意された廃教会の“懺悔室”は、元々そんなに広さはないから嫌でも廊下に続く出口にはすぐ辿り着いた。
古い木製の大扉に両手を触れ、足を踏ん張る
ギィ…と古くさい軋み音がして、その重厚感とは裏腹に、特に何の抵抗もなく簡単に開け放たれる扉
それを気持ち良く思う前に、あたしは視界に入ってきた“予想通り”の光景に眉間に深いシワを刻ませる。
「フィアーネ・モアだな」
入り口の前を通せんぼうするように突っ立っていた3人衆の内の一が、重苦しく口を開いた。
「そうだけど?」
それに不遜な態度で答えながら、あたしは明らかな嫌悪感を表す。
チッ、これから“戦い”に赴くって時に……