へたれンパイア~バイオレンスな生贄~


「だから、初めからそう言ってるだろうが」


「どこがだよ!お前の言い方じゃ、分かりにくいんだ!!」

そう言って、また喧嘩腰になるあたし達の間に入り、キルバッシュは逸れた話の道筋を元に戻した。



「少なくとも、その様子からして…今、ヴァンパイア界で何かが起こっていると、本部は結論づけたんだ」


そして、然り気無さを装ってあたしに小さく微笑んできたキルバッシュに、思わず視線を逸らす。


…彼が自分に何を望んでいるのか、たまに分からない時がある



「仲間割れとかか?」


なのに、そんなアンニュイな気分のあたしを更に重たくさせるように

相変わらず、察しの悪い事を言ってくるウェルシーに、軽い殺意を覚えずにはいられない。



「はぁ?誰が、そんな簡単な問題だって言ったんだよ」


「…や、喧しい!お前らが、まどろっこしい言い方をするから悪いんだろ!!」


そんな風に、自分の落ち度を人のせいにした挙げ句…皮パンツのポケットからタバコを取り出し、くわえるその姿が更に苛立ちを誘った。


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