へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
彼らの前で、そう決意表明するのは何度目の事だろうか。
きっと昔から…何度も何度も飽きる程、あたしの口から聞かされたに違いない
けれど、その度に彼らはそれを‘見過ごして’来た
聞かないフリをして、見ないフリをして…あたしの意思を尊重してくれた
──でも、それももう“限界”だ。
「いつまで、そんな事言ってるんだ」
あの時と明らかに、大きく変わったのは事情
「フィア、そろそろ部屋に戻ろうか」
彼らは、討伐隊でそれなりの役職につき…あたしは相変わらず、周りから煙たがられるだけの無力な存在
…そんなの、嫌だ。
「女扱いするな」
優しくエスコートしようと、あたしの腰に回されたキルバッシュの手を強く振り払う。
キルバッシュは黙っていた。そして、それを見ていたウェルシーも、タバコの煙をプカプカと吹かしながら視線を逸らしていた。
けれど、その奥に隠されている哀れみの眼差しが、あたしの心を深く突き刺す
───何故だ、何故あたしだけ……
そんなモヤモヤした感情が、自分を支配する。