へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「お前さぁ…」
ふてくされたように顔を背け、反抗的な態度をとるあたしを見かねたのか…ウェルシーが、重たい口を開きかけた。
「フィア、君を待ってる男がいるんだ」
しかし、それを遮って言ったキルバッシュの言葉に驚く
ウェルシーも、唖然とした感じで目を見開いていた。
…その反応は、随分失礼なものだと思ったが
「男…?」
解せない台詞に、あたしは眉をしかめ聞き返した。
思い起こす限り、あたしの事を健気に待つ男なんて…この世に存在するハズがない
何より、あたしは男が嫌いだ
「すごいな、もう忘れちゃったのかい?」
一向に、思い出す様子を見せないあたしに苦笑し、キルバッシュは忘れ去られた記憶のヒントをくれる。
「君の背中で爆睡しながら、やって来た…あの男だよ」
「あ」
「背中で爆睡…?何だ、それ」
一気に、謎の解答を導き出せたあたしとは反対に、ウェルシーは怪訝な顔つきで呟いた。