へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「仲、良いよね」
「……」
「……」
しかし、吐き出された予想外の言葉に、思わずウェルシーと二人で固まってしまう。
…仲が良い?誰が?あたしが?コイツと……!?
きっと、同じことを考えていたのであろう…いつの間にか、二人で似たような顔をして視線を合わせあっていた。
「まぁ、仲良き事は良い事かな…とも、言うけどね」
冗談で言っているのか、本気で言っているのか…どっちとも察しがたい感じで、キルバッシュは小さく呟く。
…だからなのか、エレベーターの個室内にはより一層、微妙な空気が漂い始めた
「……」
「……」
扉の方を向いたまま、コチラに背中を見せ続けるキルバッシュに、あたしとウェルシーは無言の視線でせめぎ合う。
もちろん、ただ睨み合うだけじゃ収まらず、お互いの顔の一部を引っ張り合ったりもしていた。
「……そうか、でも仕方無いよね」
「え…?」
そんな折、またキルバッシュがポツリと呟いた一言に、あたし達は動きを止める。