へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
それを見て、あたしの心も急ぐ
「ウェルシー、銃持ってないの!?」
「持ってるわけないだろう!ここは、居営地の中なんだ!!まさか、ヴァンパイアが侵入して来るなんて……」
それでもブチブチ言い続けるウェルシーを無視して、キルバッシュが先程飛び移った壁の穴に駆け寄る。
暗い闇の中、天井を見上げると…キルバッシュとヴァンパイアが、派手にドンパチやっているようだった。
その様子に血が騒いだあたしは、急いで他に武器になるものがないか、辺りを見回す。
「何だよ!お前も、他に武器持ってないんじゃないかよ!?」
それを見ていたウェルシーが、驚いた様子で問いかけてきた。
「当たり前でしょ!この基地の中で、そんなに大量の武器を持ち歩けないわよ!!」
煩わしく思いながらも投げやりにそう返し、手当たり次第に武器になりそうなものを折ったり引っこ抜いたりしてみたが…イマイチ、感触が手に馴染まない。
「選んでる場合か!」
“結局、俺と同じじゃないかよ”と愚痴った上に、そう叫んで来たウェルシーも、落ちたシャンデリアの金具をどうにか体のいい形にしようとして、上手く行っていなかった。