へたれンパイア~バイオレンスな生贄~


「……ったぁ‥ッ、何する…!」

ガラッ、と崩れ落ちる瓦礫と共に、あたしにのし掛かるウェルシーを突き飛ばす。


「……っ、仕様がないだろ…!あの銃は、反動が強すぎて俺じゃ上手く扱えないんだ!」

相当の集中力と神経をすり減らしたのか、元々実戦経験の無いウェルシーは、ゼェゼェと息を切らして苦しそうに座り込んでいた。



「ヘナチョコめ…ッ」


もうすっかり、元の形の半分の大きさになったエレベーター内を見回し

埋もれた瓦礫の下からいつ奴等が飛び出して来るか注意をしながら、銃の力に振り回されてあたしの上にのし掛かってきたウェルシーのせいで、乱れた服装を直す


…強い硝煙の匂いと、肉が焼け焦げたような悪臭が鼻をついた。




「…死んだか?」

瓦礫の上に、ベッタリと邪魔くさい長身の体を横たわらせて、ウェルシーが顔だけをあげ億劫げに問うてくる。


そのスタミナの無さに呆れながら、ゆっくりと奴等がいた場所に近付き答えた。



「さぁ…どうかな」


“勘弁してくれよ”なんて、泣き言をほざいている声を背後に聞きながら…あたしは瓦礫の間からわずかに飛び出している長い爪を見つけ、神経を尖らせる。


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