へたれンパイア~バイオレンスな生贄~


ズガンッ、と勢いを持って放たれソイツの息の根を止めたのは、銃口から放たれた銀の銃弾……じゃなくて、あたしの履いてるブーツから繰り出された十字の焼き印


高いヒールの底が十字の形になっているそれは、ヴァンパイアの皮膚に押し当てる事で高熱を発しソイツの皮膚を焼き溶かす



「くっ…」

何度嗅いでも流石にいい臭いには思えないそれに、思わず顔を背け腕で口を覆う。


でも、こんなザコに銀弾なんか使いたくないから仕方ない


「本部が、支給をケチってるのがダメなんだわ」

そんな事を愚痴りつつも、首が焼け落ちてすっかり絶命したらしいソイツの様子を確認すると、“仕上げ作業”に入る為にゴソゴソと胸ポケットの中を漁った。


そして、小さな石ころのような黒い固形物を取り出すと、それを1粒だけ死体に投げつける

瞬間、ボウッと激しい熱気を巻き起こして燃え盛る炎が出現し、ソイツをただの細かいチリにしていった。



「アーメン」

サラサラと川の流れのように、一筋の道になってどこかに漂い去ろうとするそれを 手早く小指サイズの小さな瓶に詰めて、コルクで蓋をキツく締めあげる。


それをまた胸ポケットに仕舞い込み、一応死者への餞(はなむけ)として胸の前で十字を切った。


< 7 / 225 >

この作品をシェア

pagetop