へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
さっきの銃の威力を見る限り、凄まじい破壊力だったけど……これくらいで、ヴァンパイアは殺せないだろう
「……」
静かに、左肩の咬まれた痕を見ると、もう流れ出る血はすっかり止まっていた。
…何より、この‘お返し’をまだしていない
「オイ、その銃はま……」
「GOAAAAAAT!!」
武器の所在を確かめようとそこに背を向けた時、瓦礫の山を吹き飛ばし姿を現したヴァンパイア達に、急いで後退し構えをとる。
「……!?」
しかし、何やら様子が只ならない状況だと気付き、ウェルシーと目を見合わせた。
「G…OAAA…AA‥A…T……」
「QjA‥jga…jg…」
下級ヴァンパイア特有の言葉にならない声を発し、全身から黒い煙を吹き出して、ボコボコと肉体の内側で何かをたぎらせる姿に、思わずポカンとする。
その様子は、どう見ても苦しがっていたからだ。
「……ウェルシー」
「…何だ」
「さっきの銃の性能は、何」
「……さぁな、確か高性能の放射物質と硫酸液体の科学反応による照射…」
「分かった、もういい」
聞いた事を丸々、口にしようとするウェルシーを止め、あたしは小さく苦笑する。