へたれンパイア~バイオレンスな生贄~


「あの男、趣味が悪いな」


そして、吐き出したそんな言葉がまるでトリガーを引いたように、パンッと破裂音がして辺りにビチャビチャと降り注ぐ、ヴァンパイアの臓物の雨


その醜悪な事態に無言で耐えながら、あたしは笑えもしない頬を引きつらせて、勝利の笑みを湛えた。



「良かったわね、命拾いしたみたいだ」


「…笑えない」

頭や肩に乗っかった臓物を取り払いながら、ヴァンパイアを抹殺したにも関わらず、ウェルシーは絶望的な声を出す。


「笑いなさいよ。じゃないと、本当に気が滅入る」


「無理…絶対、無理」


この世の終わりみたいな雰囲気を醸し出すウェルシーに溜め息を吐きながら、半壊したエレベーターの真ん中に転がってるその銃を拾おうと、あたしが屈み込んだ時


…ブチンッ、と今だけは絶対に聞きたく無かった嫌な音が聞こえ、エレベーターがグラリと真横に傾く。



咄嗟にバク転をして体勢を整え、本来は壁であるそこに足をついたあたしとは反対に

すっかり臓物雨に意識が取られていたウェルシーは、不様にゴロゴロと転がって切れかけていた壁の繋ぎ部分から、危うく落下しそうになっていた。


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