へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
「2発…だ…ッ!」
滑り落ちようとする指を第一関節だけで何とか踏ん張らせ、落下までのカウントダウン体勢に入った。
2発…あの威力と発射スピードなら、ギリギリいける…ッ!
最早それに懸けるしかないあたしは、静かに覚悟を決め真下の暗闇に銃口を向ける。
「何する気だ!?」
ガクンッ、とまた一段とロープが細くなり、蜘蛛の糸状態で生にぶら下がるあたし達に、ウェルシーが最後の希望を託すように聞いてきた。
ヒューヒューと耳元を横切る風の音が、否が応にも焦燥感をかきたてる。
「落下した瞬間に、銃を撃つ!」
刻一刻と迫るタイムリミットの気配に、流石に精神を統一させるのが大変だった。
ドキドキドキと高鳴る鼓動音は、聞いた事がない程に早鐘を打っていて、自分でも苦笑してしまう。
「……ッ、それでうまく…いくんだろうな!?」
あたしの腕を掴む手にグッと力を入れ、ウェルシーが悲痛な叫びで訴えた。
彼の腕には、無数の青い筋張った血管が浮き上がり、見るからに痛々しい