へたれンパイア~バイオレンスな生贄~
ダウンッ、と言うあの派手な発砲音さえも、風にかき消され耳には届かず…その代わりに、強い硝煙の匂いと仄かな熱さを顔に感じ、あたし達の体は一瞬だけ上に引き戻される。
元より、重い鉄の塊を誇るそれは、両手を使えず片手撃ちせざる負えなかったあたしの左腕に激しい負担をかけ、ピキピキと神経筋に痛みが走った。
けれど、それはたった一瞬の出来事で…また一刻の猶予も与えず、神はあたし達を奈落の底へと突き落とす
残された弾は一発…ッ
眼前に迫り来る固いコンクリートの床と、あたし達を覆い潰すように落ちてくるエレベーターの箱に、絶望的な終わりを感じた。
『ごめんね、食べちゃった』
───…その時、忌まわしい“あの言葉”が聞こえた。